さて、彼女は抜き差しならない「鬱(depression)」の回復から数年経過して、アディクションからの回復と成長の施設において「カウンセラー・トレーニング」を開始した。
そして、インターンシップに入ってから4年目のことである。インターンとして施設の環境整備を行いながら、彼女は、ふとある思いに囚われた。「合宿トレーニングの他にインターンシップだけでも850時間ものトレーニング期間がある。施設は遠距離にあり飛行機代もかかる。休暇中でレジャーを楽しんでいる同僚をもいるのに自分は何年も同じことを繰り返しているばかり。今やっていることの意味は何だろうか?」このことは、その時に持った正直な思いであった。
そしてその思いの中で、廊下の壁を拭きながらふと「この中に何が入っていますか?」という問いかけが彼女の中から湧き出てきた。それに答えて、すぐに「この中に愛が入っていますように。この愛が伝わっていきますように」という祈りのような言葉が思いがけず自分の中から聞こえてきた。その言葉と同時に、胸の奥と腹の深いところが動き、そこから熱い涙が湧き上がってきた。(つづく)